今回のお話は脊椎圧迫骨折後(保存療法あるいは経皮的椎体形成術:BKP)の回復期症例に当てはまる内容となります。
臥床期、離床期を終え、硬性コルセットでの固定を終えた症例をイメージしていただければと思います。
そういった症例を担当することの多い、外来リハを担当されている方に知っておいていただきたい内容です
回復期の軸となる考え方

言わずもがな、脊椎圧迫骨折の禁忌となる動作は前屈です。
また前屈位から側屈や回旋動作が伴うと、椎体へのストレスはさらに増大し、あまり望ましくありません。
勿論、これらは臥床期、離床期にも共通する考え方ですが、固定が外れて、運動療法の負荷量も上がってくる回復期でこそ、今一度念頭に置き直す必要があることだと思っています。
「当たり前のことだから、そんなことは気をつけている!」という方ももしかしたら気づいていないリスクを冒している可能性はあります。
とくに気をつけるべきは腸腰筋トレーニングを行なっている人は要注意です。
大腰筋(腸腰筋)は本当に腰椎前弯を保つのか?

一般的に腸腰筋、なかでも大腰筋は T12〜L5の各椎体と腰椎肋骨突起から起始しているため、停止部(大腿骨)が固定された状態で収縮すると、腰椎前弯作用をもちます。
ただあくまでこれは腰椎前弯位が保たれている状態で収縮した時の話です。

大腰筋の作用は腰椎のアライメントによって変化する。

腰椎屈曲位では腰椎屈曲作用であり、伸展位では腰椎伸展作用を補っているといわれている!!
Bogduk N, et al. Anatomy and biomechanics of psoas major. Clin Biomech (Bristol, Avon). 1992 May: 7(2): 109-19.
実は腰椎後弯位で腸腰筋が収縮してしまうと、腰椎後弯を助長してしまいます。これが個人的にかなり落とし穴だと思っています。
どうしても腰椎が後弯していると、前弯位へもっていくために腸腰筋を強化したくなるのですが、他動的にでも前弯を保った状態で行わなければ危険です。
離床期では硬性コルセットを装着していたり、背もたれを利用して腸腰筋トレーニングを実施していることが多いため、腰椎の後弯を助長するリスクは少ないかと思います。
ただ回復期では、環境がガラッと変わるため、その方法を見直す必要があります。
他動的にでも骨盤前傾〜腰椎前弯の動きが出現するのであれば、腸腰筋を強化する意義があります。
しかし、変性後弯にて拘縮が強い場合、そもそも前弯保持は現実的ではないため、腰椎前弯保持を目的に腸腰筋を強化することは辻褄が合っていません(股関節の不安定性がある場合、停止部を起始部に近づけるような収縮であれば、必要になるかもしれない)。
こういった場合は、どうすれば拘縮を改善できるのか?
改善が困難な場合はこれ以上進行させないためにどうすればいいのか?を優先的に考える必要が出てきます。
ここでは腸腰筋にフォーカスをあててお話してきましたが、腰椎の安定化にはコア(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋)の働きは欠かせません。
<引用文献>
1)Luomajoki H et al. Movement control tests of the low back; evaluation of the difference between patients with low back pain and healthy controls. BMC Musculoskelet Disord. 2008 Dec 24;9:170.
